ある晴れた休日の午後、近所を散歩していると向かいの家のガレージで年配の男性が網戸の張り替えに勤しんでいる姿を見かけました。その手際の良さに思わず足を止めて見入ってしまいました。彼は手慣れた様子で古いゴムを抜き去り、新しい網を広げると四隅を小さなクリップで留めることもなく、いきなりローラーでゴムを押し込み始めました。驚いたことに網は全く斜めに寄ることなく、魔法のように枠の中に収まっていくのです。少しお話を伺うと、彼はもう三十年以上も自分の家の網戸は自分で張り替えているというベテランでした。彼が教えてくれたコツは実にシンプルながらも深い経験に基づいたものでした。一番の失敗はね、網を引っ張りすぎることだよと彼は笑いながら言いました。網が弛むのを恐れて手で強く引いてしまうと、ゴムを押し込んだ時にさらに網が引っ張られ、枠が曲がってしまうのだそうです。彼は、網はただ枠の上に置くだけで、ローラーを転がす時にわずかに外側へ網を逃がすようにするのが一番綺麗に張れる秘訣だと教えてくれました。またゴムを押し込む際も一度に深く入れようとせず、二回に分けて転がすとゴムが浮かず、しっかりと固定されるそうです。その言葉通り、彼の手によって次々と完成していく網戸はどれも均一な張り具合で、市販の新品と見紛うばかりの美しさでした。さらに彼はカッターの使い方も実演してくれました。網をカットする際、刃を立てすぎるとサッシに傷がつき、寝かせすぎると網を切り損ねる。絶妙な角度でカッターを滑らせ、一気に余分な網を切り落とす様はまさに職人技でした。自分で行うからこそ道具の癖を知り、自分の家のサッシに合わせた微調整ができるのだと彼は語っていました。散歩の途中で出会ったこの光景は、私に自分の手で住まいを整えることの格好良さを教えてくれました。便利で安価なサービスが溢れる現代ですが、知恵と工夫を凝らして自らの環境をより良くしていく姿勢はとても豊かなものに映りました。家に帰ったら我が家の網戸も点検してみよう。彼の鮮やかな手捌きを思い出しながら、そんな前向きな気持ちで散歩を終えました。網戸の張り替えという一見小さなDIYが、住まいへの愛情を深める大きなきっかけになることを確信した一日でした。自分でやる技術は一度覚えれば一生の財産になりますし、何より日々の暮らしをよりクリアに、そして快適に変えてくれる魔法のような力を持っています。
網戸の張り替えを自分で行いクリアな視界を手に入れる