近年、ホームセンターなどで様々な工具や建材が手軽に購入できるようになったことから、自宅のリフォームを自分自身の手で行うDIYが人気を集めています。費用を抑えられるという魅力から、レンジフードの交換も自分でやってみようと考える方がいるかもしれません。インターネットで検索すれば、交換方法を紹介する動画なども見つかります。しかし、プロの視点から言わせていただくと、レンジフード交換のDIYは、安易に手を出すべきではない、非常にリスクの高い行為です。その理由を具体的に解説します。まず、第一に挙げられるのが「重量物の取り扱いによる危険」です。レンジフード本体は、15キロから25キロ以上にもなる重量物です。これを頭上の高い位置に取り付けたり、取り外したりする作業は、想像以上に困難で、体力を消耗します。一人での作業は非常に危険であり、もし作業中に本体を落下させてしまえば、大怪我に繋がるだけでなく、コンロやキッチンカウンターを破損させてしまう可能性も高いでしょう。第二に、「不適切な排気ダクトの接続によるリスク」があります。レンジフードの性能を最大限に発揮させるためには、排気ダクトを隙間なく、確実に接続することが不可欠です。この接続が不十分だと、排気漏れが起こり、煙や匂いが天井裏などに充満してしまう可能性があります。これは、建物の内部に湿気や油汚れを拡散させ、カビや構造材の腐食の原因となります。さらに、排気効率が悪い状態で使用を続けると、モーターに過剰な負荷がかかり、製品寿命を縮めるだけでなく、最悪の場合、過熱して火災を引き起こす危険性も考えられます。第三に、最も注意すべきなのが「電気配線工事の危険と資格の問題」です。レンジフードの電源を接続する作業は、法律で「電気工事士」の資格を持つ者でなければ行ってはならないと定められています。無資格者がこの工事を行うことは、明確な法律違反です。配線を間違えれば、漏電やショートを引き起こし、感電事故や火災に繋がる重大な危険を伴います。知識がないまま安易に手を出すことは、絶対にあってはなりません。これらのリスクに加えて、施工がうまくいかなかった場合、結局プロにやり直しを依頼することになり、かえって費用が高くついてしまうケースも少なくありません。また、DIYで取り付けた製品は、メーカーの保証対象外となる可能性も高いです。