近年、理想の住まいを手に入れるための新しい選択肢として、「中古物件を購入してリノベーションする」というスタイルが、多くの人々から注目を集めています。この「中古購入+リノベーション」という手法は、新築物件の購入や、注文住宅の建設とは異なる、独自の魅力とメリットを持っています。そして、この文脈で語られるのは、ほとんどの場合「リフォーム」ではなく「リノベーション」です。なぜなのでしょうか。その理由を探ることで、二つの言葉の違いがより明確になります。まず、中古物件を購入する最大のメリットの一つは、新築に比べて「立地の選択肢が豊富」であることです。都心部や駅の近くなど、利便性の高いエリアでは、新築マンションや建売住宅が供給される土地は限られています。しかし、中古物件にまで視野を広げれば、希望のエリアで物件を見つけられる可能性は格段に高まります。多くの人が、まずこの「立地」という譲れない条件をクリアするために、中古物件を選択します。しかし、中古物件には当然ながら、間取りの古さや内装の劣化、設備の旧式化といった課題が伴います。ここで登場するのが「リノベーション」です。もし、購入した中古物件の内装をきれいにし、古いキッチンを新しいものに交換するだけで満足なのであれば、それは「リフォーム」の領域です。しかし、多くの「中古購入+リノベーション」を選択する人々が求めているのは、単なる原状回復ではありません。彼らが目指すのは、「好立地な中古物件という器を手に入れ、その中身を、自分たちのライフスタイルに合わせてゼロから自由に作り変える」ことです。例えば、築40年のマンションの細かく仕切られた3DKの間取り。その間仕切り壁をすべて取り払い、広々としたワンルームのLDKを創り出す。内装は、無垢のフローリングと塗り壁で仕上げ、キッチンは自分たちの好きなデザインのオーダーメイドに。これは、もはや元の部屋の面影はなく、新しい価値を創造する「リノベーション」そのものです。この手法のもう一つの大きな魅力は「コストパフォーマンス」です。一般的に、同じ立地・広さであれば、中古物件は新築物件よりも安価に購入できます。