壁のひび割れ補修をDIYで行おうとした時、ホームセンターの棚に並ぶ様々な補修材を前に、「一体どれを選べばいいんだ?」と途方に暮れてしまうことはありませんか。「パテ」「コーキング」「シーリング」。似たような言葉が並びますが、実はそれぞれに異なる特性と得意分野があります。これらの道具の特性を正しく理解し、ひび割れの種類や場所に応じて賢く使い分けることができれば、あなたのDIY補修の仕上がりは格段に向上します。まず、「パテ」の役割は、主に「穴や凹みを埋めて、平らにする」ことです。壁にできた釘の跡や、物をぶつけてできた凹み、あるいは動きのない軽微なひび割れを埋めるのに適しています。パテは乾燥すると硬化し、研磨することで完全に平滑な面を作り出せるのが特徴です。ただし、硬化後は弾力性がないため、建物の動きによって再びひび割れが起こる可能性のある場所には不向きです。補修後には、上から塗装をしたり、壁紙を貼ったりする仕上げが必要になります。次に、「コーキング」や「シーリング」です。これらはほぼ同義で使われることが多いですが、その最大の特徴は「弾力性」です。乾燥後もゴムのような弾力性を保ち続けるため、建物の動きや振動に追従することができます。そのため、壁紙と壁紙の継ぎ目や、壁とドア枠・窓枠との間など、わずかに動きが生じる可能性のある「隙間」を埋めるのに最適です。また、外壁のひび割れ補修にも、この弾力性のあるシーリング材が使われます。雨水の浸入を防ぐ防水性にも優れています。ただし、パテのように完全に平滑にはならず、製品によっては上から塗装ができないもの(シリコン系など)もあるため、用途に応じた種類選びが重要です。単純に言えば、「固めて平らにしたいならパテ」「弾力性を持たせて隙間を埋めたいならコーキング/シーリング」。この基本を覚えておけば、もう道具選びで迷うことはありません。
パテ、コーキング、シーリング材の違いと賢い使い分け