現代社会において、「サステナビリティ(持続可能性)」は、住まいづくりを考える上で避けては通れないテーマとなっています。リフォームと新築、それぞれの選択が環境に与える影響や、既存の資源をどのように活用するのかという点で、大きな違いがあります。ここでは、環境と歴史という視点から、両者のサステナビリティについて比較します。 リフォーム、特にリノベーションは、「既存の建物を再活用する」という点で、非常に高いサステナビリティを持っています。新しい建物を建てる場合に発生する、大量の建築廃材やCO2排出量を大幅に削減することができます。建物を解体しないことで、解体費用や、解体によって発生するゴミの処分費用も抑えられます。また、既存の建物の持つ歴史や地域性を継承し、古き良きものを現代の暮らしに活かすという点で、文化的サステナビリティにも貢献します。建物の躯体や基礎をそのまま利用するため、資源の消費を抑え、地球環境への負荷を低減できる点は、リフォームの大きなメリットと言えるでしょう。 一方、新築は、建材の生産から輸送、そして建設に至るまで、多くのエネルギーと資源を消費します。しかし、近年では「ZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」に代表されるような、高い省エネ性能を持つ住宅が普及しています。太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入したり、高断熱・高気密化を進めたりすることで、運用段階でのエネルギー消費量を大幅に削減し、長期的に見て環境負荷の低い住まいを実現することが可能です。また、環境に配慮した建材の選択や、地元の木材を使用するといった工夫も、新築住宅のサステナビリティを高める要素となります。 中古住宅をリフォームして住むことは、スクラップ&ビルドのサイクルを減らし、既存のストックを有効活用することに繋がります。一方で、新築住宅も、長期的な視点での省エネ性能や耐久性を高めることで、地球環境に配慮した住まいづくりが可能です。 どちらの選択肢も、工夫次第でサステナビリティに貢献できますが、そのアプローチは異なります。環境への影響や、既存資源の活用といった視点も、住まい選びの大切な要素として考慮すべきでしょう。