「いよいよ来月、このアパートを退去か…」引っ越し作業を進める中で、私はリビングのクッションフロアに目をやりました。長年の生活でできたであろう、小さな傷や家具の凹み、そしてなぜか目立つコーヒーのシミ。心の中には「これ、全部私の負担になるのかな…?」という不安が渦巻いていました。今回は、そんな私が実際に経験した賃貸退去時のクッションフロア張替えに関する奮闘記と、その費用、そして最終的な解決策についてお話ししたいと思います。まず、私は賃貸契約書を引っ張り出して、原状回復に関する条項を熟読しました。そこには「故意または過失による損傷は借主負担」と書かれていましたが、具体的な線引きは曖昧。次に、国土交通省のガイドラインも確認し、通常損耗と特別損耗の違いを学びました。これを入念に調べたことで、少しは心強く感じました。退去の連絡をした際、管理会社から「立ち合い時に確認します」と言われたので、それまでにできることはないかと考えました。小さなシミは市販のクリーナーでごしごしと拭き、目立たない程度の傷は、ホームセンターで買ったクッションフロア用の補修ペンでごまかしてみたりしました。しかし、コーヒーのシミだけは頑固で、どうしてもきれいに落ちませんでした。立ち合いの日。管理会社の担当者と一緒に部屋を回り、いよいよクッションフロアの確認です。私は内心ドキドキしながら、担当者の言葉を待ちました。「こちらのコーヒーのシミと、あちらの家具の凹みが気になりますね」担当者は指摘しました。私はすぐに「コーヒーのシミは私の不注意ですが、家具の凹みは通常の生活でできたものだと思います」とガイドラインに基づいて反論しました。担当者は一旦引き下がったものの、後日送られてきた見積もりには、やはりコーヒーのシミによる部分張替え費用と、家具の凹みによる部分張替え費用が計上されていました。合計で約3万5千円。私はすぐに管理会社に電話し、家具の凹みは通常損耗であること、そしてコーヒーのシミについても減価償却を考慮してほしい旨を伝えました。交渉は難航しましたが、私が事前に準備していた証拠(入居時の写真やガイドラインの引用)と、冷静な態度が功を奏したのか、最終的には家具の凹みに関する費用は削除され、コーヒーのシミに関する張替え費用も、減価償却分を差し引いた約1万5千円に減額してもらうことができました。